ローリングシャッター

DSLRで撮影する際に困る比較的大きな問題が、ローリングシャッターです。

最近のカメラに使われているセンサーはCMOSという技術が使われています。従来のCCDよりも電力消費が少なく、問題視されていたノイズも技術の進歩に伴い討論の必要は無くなりました。

ここまで来て、未だに解決されていない問題がローリングシャッターです。

センサー全ての情報を同時に読み出すCCDとは違い、ラインを上から下(下から上?)へ順々に読み出すので、1フレームの静止画の中に時間差が生じます。画像の上の方に写っている絵と下の方に写っている絵とで微妙に時間がずれているのです。

rolling shutter
素早いパンに追いつけず斜めに歪む建物

車などの動きの速い物体がカメラを横切ったとき斜めっぽく歪んで見えたり、手持ちカメラで激しい動きを付けたときに画が歪んで見えるのはそのためです。微妙な手の震えなども歪みの原因になります。

安いCMOSセンサーの最悪な例

シャッタースピードを落として目立たなくするなどの工夫は出来ますが、完全に取り払う事はできません。

前の記事に書いた様に、高級機種では機械式のロータリーシャッターを組み込む事で解決できますが、DSLRにそんなもんねーよ!って話。(誰か作らないかな?)

そこで使いたいのがNukeで有名なThe FoundryのRolling Shutterというプラグインです。

Rolling Shutter

独自に開発されたアルゴリズムで、歪みを補正してくれます。

五百円玉のそらごとのワンシーンで手ぶれ補正をかけただけの映像と、完成版の映像を比較してみます。

撮影日は風が強くステディカムが言う事を聞かず、やむを得ずポストで揺れを押さえたのですが、CMOS歪みのひどさを改めて目の当りにします。画が固定される代わりに、歪みが目立ってしまうのです。

そこで元素材にRolling Shutterを適用してから改めて手ぶれ補正をかけたところ、絶望的だった映像が鑑賞に堪えるまでに改善されました。とは言っても手ぶれ補正なんて邪道なので、風の強い日はカメラを重くしましょう。

ただこのプラグインが完璧かと言えばそうでもなく、たまに計算のエラーで変な結果が出たりします。1フレームだけであるとかであればあまり気づかなかったりするのでそのままにするなり、そのフレームだけ元々の映像と差し替えるなどして対処します。

bad calculation

値段は500ドルですが、DSLRで何度も撮影する事を考えれば、そこまで悪くない価格設定だと思います。またレンタルと言う形で期限付きで使用する事もでき、たとえば30日間であれば124ドルといった具合になります。

体験版もダウンロードできるので、撮った映像が歪んで歪んで真っ青!って方は是非使ってみてください。

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ケージ

DSLRは小さいボディーが売りだけど、実際手持ちで撮影すると持ちにくかったり手の震えが直に絵に現れたりアクセサリーを付けにくかったりと、いろいろ問題が出てきます。

そこで使えるのがケージです。

Cage
Letus Talon DSLR Camera Cage

いろんな会社からいろんなタイプのケージが出てますが、どれもレゴブロックみたいに自分の好きなセッティングを作り出す事ができます。取っ手を付けて持ちやすくしたり、ネジ穴にLEDライトや外部モニターを付けたり、マイクを載せたりも出来ます。可能性無限大です。言い過ぎか。

Redrock Microはロッドの組み合わせを中心としたケージで、そこでさらにショルダーマウントとかも付けたりしてガンガン巨大化していきます。

Shoulder Mount
Redrock Micro DSLR Field Cinema Bundle

ただやっぱりアメリカ製は無駄に高くて金が飛ぶ。そこで最近はまってるのがeBay作戦。中国やインドや韓国の会社からいろいろ出品されてて、クオリティもそこそこ良くなにしろ安い。自分はDV Cityと言う会社が販売しているインド製のケージを使ってます。1万5千円程度と、アメリカ製の10分の1以下の値段で買えちゃったりします。

My Cage
DV City ProAim 6" Cage

ところで、「こんなにでっかくなったらDSLRの意味ないじゃん」という素朴な疑問はいつまでも付きまといます。

CMOSに対する各社の答え

IBC2011がアムステルダムで開催されていますが、ARRIがAlexaの発展型いくつか発表しました。

そのうちの一つ、Alexa Studioと言うこの新しいカメラですが、シャッターが電子式でなく機械式のロータリーシャッターを採用しています。

シャッターを機械式にする事で、CMOS特有のウザイ歪み現象が無くなるそうです。

Alexaの中に搭載されるロータリーミラーシャッター

興味深い事に先日ソニーが正式発表した映画用カメラF65も、同じくロータリーシャッター機構をオプションで追加できるのです。

デジタル映画製作の二大メーカーが同じ時期に同じ方式の解決策を提示したのが面白い。これがこれからのハイエンドモデルの標準になるんでしょうか?

キヤノンとかが超格安でロータリーシャッター付きのレンズ交換式ビデオカメラなんかを出してはくれないもんですかね。

激安フォローフォーカス

Micro FollowFocus Blue

フォーカスを追うのに便利なのがフォローフォーカス。

レンタルでは常にお世話になっているRedrock Microが最近アップデートしたMicro FollowFocus Blueがちょっと気になるけど、8万円程度とちょっと高い…。

ikanの出してる2万円程度のフォローフォーカス「F3」はギアを必要としない画期的なデザインだけど、正確なフォローが他のそれに比べて弱いのが弱点。

そんな中で最近話題になっているのが上海のRJと言う会社?が作っているRJ Follow Focusで、eBayで販売しています。1万3千円程度(現在は1万5千円程度)と安かったので即買いしてしまいました。デザインはそれとなくRedrock Microを模倣していて、雰囲気はプロっぽい。

RJ Follow Focus

ほぼ金属で作られていて出来が良い。長編映画の撮影で試してみたけど、フツーに壊れませんでした。使い物になります。ギアボックすのどちら側にもギアを差す事が出来るので、ギアがレンズに届かない!って事も無かったです。

RJ gear
ギヤの位置を反転できる

僕の所に届いたときにはマーカーの目盛りがズレてて自分で直さなきゃいけなかったり、ちょっと品質管理がバラバラな印象。ロッドの穴が緩くて固定するのに結構ネジをまわすとか、位置の微調整に時間がかかるのが短所。ただ値段を考えるとかなりお得な品だと思います。

もう一つ格安で画期的なのがJag35が出しているElectronic Follow Focus Kitです。

Jag35

値段が3万5千円程度の電動ギア式フォローフォーカスで、3.5mmのヘッドフォンケーブルでリモコンを接続します。市販の長いケーブルを買ってくれば、遠いところからでも操作することができます。別モニターを用意して別の人にフォーカスを担当してもらうなどの使い方ができます。ただこれの問題はモーター音がちょっとうるさく、ドキュメンタリーの撮影など現場の音が重要な場ではあまり使えないかもしれません。

古いレンズ

カメラを買ったときに付いてくるズームレンズでも映画っぽい奇麗な映像は撮れますが、やっぱり単焦点レンズの明るさやボケ方が一つ上です。キヤノンのLレンズなんかはズームレンズでもスゴい品質ですが、どうしても15万円は下らない。

そこで注目したいのが中古レンズ市場です。特に古いレンズは値段も安く、運が良ければ50mmのf1.4と言った絶品が2万円以下で手に入ります。

自分は1970年代から80年代にかけて作られたニッコールレンズを所有しています。色収差や鮮明度は現代のレンズなどには設計面でかなわない部分があります。それでもその時代の味と言うか、とても雰囲気の良い絵が撮れて自分は大好きです。映像制作が目的であれば4Kでも無いかぎり十分使えます。

70年代前半に製造されたNikkor 35mm f2.0で撮影した映像

市販されているアダプターを使う事で、様々なカメラに他社のレンズを装着することができます。(ただし、これを使ってカメラを破損すると保証の対象外になるそうです)

ニコンレンズ用のマウントアダプター

キヤノンのカメラでニコンのレンズが使える理由として、フランジバックの違いがあります。フランジバックとはマウント部分からセンサーまでの距離の事で、ニコンのカメラはその距離がキヤノンよりも若干長いのです。アダプターのちょうどよい厚みでフランジバックを同じにする事で、正しくフォーカスが合うようになります。逆にキヤノンのレンズをニコンに付けようとすると、アダプターが余計な厚みとなってしまい正しいフォーカスが出来なくなります。

ミラー機構を持たずフランジバックの短いマイクロフォーサーズ規格やソニーNEX製品では、かなりの種類のレンズを取り付ける事が出来ます。カメラの改造をせずとも映画用レンズのPLマウントを取り付けられたりもします。

スライダー

プロが使う撮影技法の一つに、ドーリーがあります。

カメラをレールにのせてスムーズにゆっくり動かす事で、空間を演出します。

ただ買うには高い。借りるにしてもある程度の心の用意が必要なほど、デカイ。

そんな中で登場したのが三脚の上にのせられるミニチュアドーリー、スライダーです。小さなレールとボールベアリングの車輪が、1メートルほどのスムーズなドーリーを可能にします。

写真は以前商品撮影の仕事でスライダーを使ったときのものです。こんな感じで、かなりコンパクトなセットアップができます。とんでもなく長いドーリーが必要でもなければ、これで十分行けます。

一番人気がKessler Crane(ケスラー)と言う会社が製造しているPocket Dolly

値段も6万円と少々高めですが、信頼されています。何度か使う機会がありましたが、たしかに頑丈に出来ています。別売りのモーターを取り付けると電動ドーリーとなり、非常にコントロールの効くスライダーになります。

少し安めなのがKonova(コノバ?)という韓国の会社が出しているスライダー。

http://www.vimeo.com/25118077

自分もこれを所有していて、かなり重宝しています。三脚を付ける穴が両脇にも付いているので縦に取り付ける事も可能で、下から上へと言ったクレーン風の動きも可能になります。

ほかにも沢山の会社から同じ様な製品が出ていますが、また面白い物を発見したときは書き足したいと思います。

チビ鬼 Panasonic Lumix GH2

「山椒は小粒でもぴりりと辛い」みたいな感じのカメラがGH2です。

写真機としてはアマチュア向けな扱いのこのカメラですが、その描写力が半端ない。マニュアル操作はもちろん、フレームレートも24pや60p(720p)などが選択可能です。アメリカではイベント撮影や小規模プロダクションなどの現場で使われています。

そして驚く事に、キヤノンで苦労するモアレ現象などが、このカメラでは抑えられているのです。

記録コーデックがAVCHDであるとか、センサーサイズやカスタマイズ性、筐体の強さではキヤノンに及ばないところもありますが、映画監督を目指したい人が最初に手にするカメラとしては完璧かもしれません。

下の動画はDSLR撮影の先駆者Philip Bloomが休暇がてら撮影したホームビデオ。

6万円でここまでやるビデオカメラ一眼カメラ、価格崩壊です。